香りの散歩道



香水王フランソワ・コティ



墨絵・朝野泰昌
 今からおよそ100年前、香水の世界に革命を起こし、「香水王」と呼ばれた人物がいます。

フランソワ・コティ。

地中海に浮かぶ島、コルシカ島で生まれたコティは、南フランスで香水の作り方を学び、パリで自分の香水ブランドを立ち上げました。

彼が初めて創作した香水の名前は「ラ・ローズ・ジャックミノー」。
のちに名作と呼ばれる、真紅のバラをイメージした香水です。
当時はまだ名もないパフューマーだったコティの香水が、どのようにして世に出ることになったのか。

今も語り継がれる、こんなエピソードがあります。
コティはあるデパートに自分の香水「ラ・ローズ・ジャックミノー」を売り込みに行きましたが、何度足を運んでも断られました。

そこで彼は、香水瓶を床にわざと落として壊し、香りを店内にまき散らしたのです。
その香りは、たちまち買い物客の心をとらえ、デパートでの販売に成功したのだとか。

また、コティは香りのイメージを目に見えるカタチで表現した、芸術的な香水瓶の生みの親でもあります。
当時、ジュエリー作家として活躍していたルネ・ラリックに、香水瓶とラベルのデザインを依頼して大きな話題に。

ラリックはコティとの出会いによって、ガラス工芸作家として世界に名を馳せるようになったのです。
香水王フランソワ・コティ。
彼の功績によって、香りの世界はより魅力的なものになったのですね。



*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

3月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。

*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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